一人前への道のりエピソード集

占い師というと、ただ座ってお客様がくるのを待っている、楽な仕事。そんなイメージを持っていらっしゃるかもしれません。実際には、精神的ストレスも多いハードな仕事です。

ここでは占い師の影の苦労を、具体的エピソードでお届けしていきます。

 

〜 接客編 〜
演出は必要不可欠?
飲み屋と勘違い?
一生分のプロポーズ
「あんた社長の何なの?」
素性は明かせません
格好の研究材料
出逢った証
世のため人のため…

〜 お客様は占い師編 〜
神の世界に生きています
私、占い師ですから
儲かる方法教えて下さい
占い師に向いてますか?
結婚相談には乗れません
ゴースト占い師
占い師の第一関門

【演出は必要不可欠?】

新人の頃、いわゆる占い師らしい格好をしなかったので所属会社の担当者からしばしば注意されました。アクセサリーはたくさん付けた方が良いとか、メイクは派手に、華やかな服装を心掛けるように等々…。お客様は外見で判断するから、という理由です。先輩方からも「まずは形から入るべし。」と諭されたことがあります。薄暗い鑑定所に、いかにも占い師らしい人が座っていることが客を惹きつけると。

占い師の格好に正しいも間違いもないし、誰もが煌びやかな占い師を求めている訳ではないと思うのですが…。それは私のへ理屈なのか?果たして私は変わり者なのか?当時はそのことについて悩みました。イベント出演時は雰囲気作りも仕事のひとつですから、それらしい格好をすることを心掛けています。しかし、それ以外の対面鑑定は、派手に着飾るのは性に合わないので、普段着で行っています。それが面白みに欠けても、人を惹きつけるものでなくても、私はできるだけ、ありのままで居たいのです。

ちなみに、占い師さんの中には、コスプレ的に楽しみながら、衣装に力を入れているという方もたくさんいらっしゃいますし、テレビに出演する方などはキャラクター作りも必要となってきます。まめに衣装を替えるため、衣装代がバカにならないという方もいました。ですから、長年鑑定されている方は、必然的に衣装持ちとなっていくわけです。「飽きちゃった衣装がたくさんあるから、あげるわ」と言われお宅に伺うと50着以上の衣装の山が!フリフリ、キラキラ、スケスケな衣装を段ボール一箱分頂きました。いただいた衣装はイベントの時にありがたく着させていただいています。先輩占い師さんと一緒に衣装を買いに行ったり、ダンス用の衣装を扱うような衣装屋さんを紹介してもらったり。占い師間にはこんな交流もあるのです。

【飲み屋と勘違い?】

それはちょうど運の悪い時期でした。金銭トラブル要注意の時期に、やはり事は起きてしまいました。鑑定を終えて鑑定料を告げると「今日は持ち合わせがないんです。」と謝る30代半ばの男性。

度々いらっしゃる常連の方でしたので、私の善意からその日は支払日を決めて帰って頂きました。しかし、この私の判断が間違いだったと痛感する出来事が後におこりました。後日彼はまた別の相談をしに来店しました。鑑定を終えたところで「では、前回分と併せて○○円です。」とお伝えしたとたん、驚くことに「今日もツケで!」と空の財布を見せるのです。対面鑑定は、即日現金払いが基本です。「飲み屋ではないので…」とご説明すると、「何度も来てればイイ気になって!心を病んでる人から、良く金が取れるなぁ!」と逆切れするのです。それでも何とかお支払いのお約束を取り付けて、後日鑑定料を受け取ったのですが…。「あんたが金を取り立てるから、ショックでうつ病が悪化したよ!」と捨て台詞付きでした。

やはり運の悪い時はトラブルが起きるものです。昔の占い師さんは、自分の運の悪い日は休業していたのだそうです。それができれば良いのですが、占い館と契約している以上、身勝手な都合でお休みはできません。こんな不運を避けられないことも受け入れるしかないのです。

【一生分のプロポーズ】

占い師に恋してしまうお客様は意外にも沢山います。親身になって相談に乗ってもらううちに、親しみを感じてしまうのでしょう。そして好意を持った末のトラブルは、やはり自分の運が悪い時に起こり、対処に困らせるのです。お客様の中には、真剣にプロポーズする人までいて、本当に驚かされました。

お店の準備中に会いに来る人や、昼休みに一緒に休憩しようと誘う人。閉店時にお店の前で待ち伏せする人や、帰りに待ち伏せして、「一緒に帰るまで来続けます」と懇願する人。さらに同じエレベーターに飛び乗って来て告白する人もいて、こうなるとストーカーも同然です。その都度、”お客様と個人的に親しくなることはない”ことをご説明していたのですが、さすがに恐怖を感じました。最終的には警備員の方にお願いして、途中まで一緒に帰ってもらう事態になってしまったのです。

ベテラン占い師さん曰く「占い師なら、好かれて困る経験ぐらいあるものよ」。実際、周囲の占い師さんのほとんどが、お客様からプロポーズされた経験があるのだと、その時に知りました。仕事を始める前は、占い師がこうした経験をしているなんて、予想だにしていませんでした。人の心を扱う仕事には、こんな思いもよらない苦労もあるのです。

【「あんた社長の何なの?」】

女の嫉妬は恐ろしい!と実感したお仕事がありました。一時期、ある企業の社長さんとお仕事をご一緒させていただくことになり、お得意先をお伴して回らせて頂いたことがありました。

俳優並みのルックスに優しく穏やかな雰囲気を兼ね備えたその社長さんは、どこへ行っても女性達が見惚れるカリスマ的存在でした。ある訪問先で、その恐怖体験はおこりました。彼とは長い付き合いであるという30代の女性が、鋭い語気で「あんた、○○社長の何なの?」と私に向けて言い放ったのです。彼女はおそらくその社長さんに恋愛感情を持っていたのでしょう。目力と言い、語気と言い、その迫力たるや凄まじいものがあり、きっと、蛇に睨まれた蛙はこんな気持ちになるのだろう、と思ってしまうほどでした。

ただならぬ殺気を感じた社長さんが直ぐに仕事仲間であると助け船を出してくださったのですが、こちらとしては、とんだ災難です。その帰途で社長さんは「すぐに疑われてしまって…」と、ボヤいておられました。女性たちの憧れの的である彼と行動を共にする私に、嫉妬する人は他にも大勢いたのかもしれません。幸いにも、その後はそういったトラブルもなく、無事に契約期間を終えることができホッとしました。仕事のパートナーによっては、誤解を受ける覚悟も必要なようです。

【素性は明かせません】

お客様の中には、私の身の上を知りたがる方もいらっしゃいます。経歴、年齢、家族構成など…。プロになって間もない頃は聞かれるままにお答えしていましたが、それによる失敗を経験してから素性は明かさないことにしました。これは仕事に支障をきたさない為にも、実は、大変重要なことなのです。

経験のないことは当然アドバイスできるハズがない、あるいはするべきではない、と考えているお客様は実に多くいらっしゃいます。たとえば、占い師が未婚であれば「独身のくせに」と見下げ、既婚者であれば「結婚している人にはわからない」と反感を抱くのです。年上のお客様には「お前に世の中の何がわかるんだ!」と怒鳴られたこともありました。さらに、健康な人には分からない、その年齢では分からない、更には、女には分からない、他人には分からないというようなケースまで・・・。

時には理解に苦しむこともあります。ですが、“どうせこの人には分からない”と思わせてしまったのは、他の誰でもない私自身なのです。相談者様に必要以上の情報を与えてしまったこと以上に、まず不信感を抱かせてしまったことについて、反省する必要があると思いました。

ただ、皆さんにご理解いただきたいのは、占い師が導き出す鑑定結果は、占い師自身の経験に基づくものではないということです。もちろん、経験談を交えてお話させていただくことも、あります。ですがそれは、あくまでも、占い結果やアドバイスをご理解いただくための枝葉でしかありません。個人的な見解や、僅か百年足らずの占者の人生経験を判断基準にアドバイスすることはありませんのでご安心ください。

【格好の研究材料】

「自分のことも占いますか?」と良く聞かれますが、もちろん占います。実際、どこの誰よりも自分のことを一番良く占います。なぜなら自分ほど良い研究材料はないからです。自分の身におきたことは、誰の問題より良く理解できます。嬉しいことも悲しいことも、失敗も成功も、全ての経験が占いの研究材料になるのです。

当然、研究の為だけでなく、自分の人生をより良くする為に占っているという側面もあります。占い師が自分の人生を持て余しているというのは、ちょっと修行が足りないと思うので。もちろん占いは人生を自在に操る術ではありません。ですから、どんなに占いを駆使しても、運の悪い時期を良い時期に変えるようなことはできませんから、酸いも甘いも経験しなくてはなません。それでも占い師なら、それらに翻弄されるのではなく事前に予測し、対策を講じ、上手に舵を取りたいと思うのです。

【出逢った証】

「あなたの言っていることは間違えてないけど、教科書通りだ」街占で席を並べる70代の占い師さんがポツリとつぶやきました。「采慧(サキ)さん、言葉は少なくて良いから、あなたの言葉を使った方がいい」新人の私の、おぼつかない仕事振りを見兼ねて助言して下さったのです。

先輩のご厚意に対して私は「でも私には、まだ自分の言葉がありません。今の私には、年長者にアドバイスすることは本当に難しいんです」とつい弱音を吐いてしまいました。するとお爺さんは笑いながら「あなたは教育者だったじゃないですか。子供を伸ばすのも、大人を伸ばすのも同じです。あなたが学んできたことをそのまま活かせば良いのですよ」と、温かくご指南下さいました。

その日から、昨日とはまるで世界が変わったような気持ちで仕事に取り組むことができました。人に出逢うというのはこういうことなのだと、心に沁みました。この方とのご縁はほんの一瞬でしたが、私はこの出逢いを一生忘れないでしょう。たとえ短いご縁であっても、彼が私に与えてくれた温かい言葉とその気持ちは、出逢った証として生涯心の中に生き続けると思います。

【世のため人のため…】

お金が欲しい人は、世の中に溢れているものです。ある年末に頂いたご相談は、良くある「くじ運」を知りたいというものでした。「世のため人のため、恵まれない方々に寄付をしたいと考えております。宝くじの予想鑑定をお願い致します」とご依頼頂いたのですが…。ボランティアは、自分の出来る範囲内で行えば良いという考えは、この方には受け入れられないご様子。「私は、できるだけ多くの人々をお救いしたいのです!」と必死に訴えるので、「占いますが、万一、くじ運があったとしても直ぐに当たるとは限りません。当選まで何年もかかるかもしれませんし、当選しても高額である保証はありません」とご説明すると、無言で電話を切ってしまわれました。時には、このような後味の悪いお電話もあります。

ちなみに、くじ運はすべての人にあるわけではありません。また、たとえあったとしても、高額当選する保証はまったくありませんし、購入するのに良いタイミングがありますので、それに合わせて長期的に、根気強く買い続けていく必要があります。

この電話を終えて、そう言えば私は”世のため人のため”と考えたことはないな…とふと思いました。目標として”世のため”と掲げるのは、個人的にとても違和感があるのです。仕事柄、人のお役に立てた時はもちろん嬉しく思います。ですが、私は占い業もボランティアも、あくまで自分がしたいことを、しているに過ぎません。今まで出会ってきた人々が、世のために身を挺することの尊さを教えてくれましたが、本当に真似のできないことだと思います。”世のため”と言われる行為とは、私にとっては壮大なものであり、生半可な覚悟でできることではなく、簡単に口にすることもはばかられる想いです。

様々な人生に出合い、何かを気付かされるということは、鑑定業の醍醐味の一つであり、収穫です。人々の人生観に触れ、自身を顧みることができることは、私の人生に大きな恵みをもたらしています。たとえ後味が悪いことがあっても、自分にとって無意味な仕事などないのだ、と気持ちを切り替えることができるのも、素晴らしい収穫の一つといえるかもしれません。

【神の世界に生きています】

同業者のお客様は、それほど多くはありません。数か月に一度くらいの頻度でしょうか。ある日ご相談にみえた占い師さんは、独自の世界に生きる方でした。「普通の人の生活とか、考え方が分からないんです。私は…神の世界に生きています。ですから相談に来る人達のように、悩んだ経験がありません。ただ悩みの解決方法は分かるので、アドバイスすることができるんです」と喋り続けます。

「それで、ご相談の内容は?」と伺うと、「悩んでいる人の気持ちが理解できないというか…でも苦情を受けたことはなくて…」と質問するでもなく、自問自答をひたすら繰り返しています。「毎日大勢の鑑定をするから、とても疲れます。霊感占いは集中力を要するので体力的にも大変で…」話は延々と続いていき「あなたはきちんと勉強していて偉いですね。私も霊感だけでなく占星術を身につけたいと思います」と、自己完結する形で一件落着したのでした。

これといったアドバイスもすることがなく解決することも間々あります。この時必要とされていたのは、私からの助言というよりも、話の分かる人に聞いてもらうことでした。人は自分の仕事の辛さや悩みを、分かってもらえそうな人に聞いてもらえるだけで、心が軽くなるものではないでしょうか。「占い師の苦労って、占い師にしか分かってもらえない気がする」。以前、別の占い師さんからそう相談されたことを、ふと思い出しました。

【私、占い師ですから】

高飛車な雰囲気の20代前半の女性が、私の前に座りました。「こんにちは。今日はどのようなご相談ですか?」と話しかけると「私の性格、長所、才能、そういうの分かる?」と、思った通り高圧的。一通り鑑定結果をお話しするや否や「そんなの全部知ってる。自分の事だし、心理学も勉強してるし。それに私、占い師ですから」と不満気なご様子。「…では、ご自分の分析通りだったということだと思います。他に何かご質問はございますか?」と伺ったところ、「もういい。大した情報得られないみたいだから。知ってることばっか!」そう吐き捨てるように言い放ち、お金を置いて帰ってしまいました。

基本的な鑑定結果は、誰に占ってもらっても大体同じ結果になります。伝え方に個性が出るものの内容に大きな違いはありませんから(勉強の段階によって、占える分野や精度は多少違いますが)、自分で占える方は、あえて占い師に占ってもらう必要はありません。

彼女は自分に占えない何かを、他人に求めてこのような行動をとったのか。考えさせられることは多々ありましたが、こういった場合は深く追求せず、“去る者は追わず”が賢明かもしれません。

【儲かる方法教えて下さい】

占いや、スピリチュアルがテレビや雑誌などで大変話題になっていた頃。開業3ヵ月目の中年の男性占い師からのご相談は、何とも単刀直入な質問でした。「儲かる方法を教えて下さい」というもの。占い師は儲かる仕事だと思って、転職したのに、見当違いで思わぬ苦戦をしていると言うのです。彼の目的は、ズバリ”金儲け”です。その手段として占い師という仕事に可能性を感じたのでしょうけれど、それは稼げると思って○○になったという状況と似ています。就けば必ず儲かるという仕事は、この世に存在しません。

儲かるという字は「信者」と書きます。お金は、信頼される者に集まってくると私は解釈しています。そこで、イメージ先行型となっている彼には、このようなお話しをさせていただきました。「人から信頼される人物を思い描いて下さい。そして、お金持ちをもっと研究して下さい。”お金を得る=信頼を得る”です。日々そうした仕事を心掛けることと、持って生まれた才能と運を活かすことが、儲かる方法です。」

2年後、彼は再び占い館を訪れていたようです。その時私は既に占い館を辞めていたため、彼に会う事はできませんでしたが、お店の占い師さんが「Aさんって男性が、采慧(サキ)さんを訪ねて来たよ」と教えて下さいました。元気のない様子だったと伺い残念に思いましたが“急がば回れ”という気持ちで、頑張って欲しいと思います。

【占い師に向いてますか?】

占い館で一緒に働いていた占い師さんから相談を受けたことがあります。実践経験のまったくないその新人占い師さんは、初めてのお客様を激怒させてしまったのです。なんとも運の悪いことに、初出勤の日、初めて鑑定したお客様が、よりによって占いのヘビーユーザーでした。自信なさげな応対に、「あんた素人でしょ!」とお客様が叱咤したのです。その声は館内に響き渡っていました。

結局お客様は、鑑定料を払わずに帰ってしまいました。問題は、それより何よりこの新人さんが参ってしまったことでした。ほどなく、隣に座る私に「私は占い師に向いてますか?」と思いつめて尋ねてきました。「私の前に座って下さい」そう言って相談者席に座るよう勧め、占いました。

私も新人の頃、隣の占い師さんに、“仕事のイロハ”を教わっていました。相談を受けるプロですから、占い師の先輩の存在というものは、それはそれは心強いものです。彼女には占いの才は十分にあると思いました。誰にでも、理想のイメージというものがあると思いますが、そのイメージを基準に、自分を評価する必要はないと思います。

理想の占い師になるのではなく、自分の個性を認める自分になることが大切です。つまり、自分らしくあること、自分を極めるということです。昔、私の鑑定を「大人しくて良かったです。占い師はもっと怖いものだと思っていました」とおっしゃってくださったお客様がいました。私らしい仕事をすれば良いのだと、思いがけず背中を押されました。そんな過去の経験から、自分らしさを大切にすれば、それだけで魅力的な占い師になるのではないかと感じ、彼女には心からのエールを送りました。

【結婚相談には乗れません】

ある独身の占い師さんは悩んでこう仰いました。「私占い師なんですけど…。結婚相談が苦手なんです。今まで一度も結婚したことがないので結婚の仕方も分からないし、結婚生活がどんなものかも知りません」鑑定経験が豊富な占い師さんでも、男女の縁は複雑で難解であると感じていると思います。未経験であれば尚更、難しく思うことも多いでしょう。正直なところ、苦手分野は私にもあります。

しかし、占い師の力量が全て経験値にかかっていると考えるのは早計です。もしそうなら、体がいくつあっても足りません。占い師(占星学家)は、学問によって問題の解決を図ります。ですから、経験が無くてもアドバイスできるのです。力不足だと感じたら、更に勉強すれば良いのです。医者が医学を勉強して、自らは病んだ経験のない病気の治療をするのと同じです。

人は死ぬ間際まで、未経験の問題に直面し続けるものではないでしょうか?それらの難問を乗り越えるために、先人の経験や研究や、生き方を学ぶのです。長老のベテラン占い師さんでも、未経験のことは山ほどあります。それでも相談に乗ることができるのは、たゆまぬ勉学で養った知識と実践経験の積み重ねがあるからだと思います。占い師である限り“つまづいたらひたすら勉強し、現場で体得する”その途方もない繰り返しなのです。

【ゴースト占い師】

「ゴーストライター」ならぬ、「ゴースト占い師」を依頼されることがあります。占い師さんが鑑定できない難しい内容のご相談を受けた場合に、受けた人に代わって鑑定する、いわゆる“鑑定代行”です。ゴースト占い師は依頼されたご相談内容を一旦お預かりし鑑定します。依頼した占い師は、代行者が鑑定した結果を、後日お客様にお伝えするのです。表向きは、依頼主の占い師さんが占ったことになります。やっぱりズルい仕組みがあるのだ、と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、こうした行為を一概に非難することはできません。

なぜなら、何でも始めから上手くできる人はいないからです。過去にゴースト占い師を依頼してきた人の中に、楽して仕事をこなそう、などと甘く考えている人は一人も居ませんでした。皆さん代行を依頼すると同時に鑑定方法も学びたいと、ご自分の苦手分野を克服するべく、真摯に勉強に励んでいらっしゃいました。実践で壁に突き当たり、その際、先輩の助けを借りて課題をクリアして行くことは、決して悪いことではないと私は考えます。

占い師は“よろず屋”のような立場で、ジャンルを問わず多種多様のお悩みに対応しなくてはなりません。どのような相談にも乗れるようになるには、想像を絶する勉強量と実践経験が必要となります。果てしない道のりです。当然のことながら、未勉強の事柄について相談を受けるケースも多々あります。その場合私は、十分に鑑定できないことを正直に申し上げ、それでも相談したいという場合は鑑定させて頂きます。

実際、勉強中の事柄について依頼された時は、相談者様からご理解をいただき、半年後、勉強を終えた時に鑑定をさせて頂いたこともあります。しかしながら、その場で鑑定しなければならない街占では、知ったかぶりをするか、勉強不足を白状するか、道は二つに一つしかありません。知ったかぶりが上手く出来るほど器用でない私には、選択肢は存在しないのです。一時の恥をかいてでも、地道に精進するのみです。

【占い師の第一関門】

「占い結果が悪かった時、相談者様に何て言えば良いんですか?」毎年、何度となく聞かれる質問です。占い師の第一関門と言っても良いかもしれません。この試練に耐えられず、占い師を辞めた人を何人も見て来ました。このようなご相談には、占うことと併せて、私の個人的な考えや経験談も交えてお話させて頂きます。

実は、悪い結果や警告にこそ、相談者様がしっかりと耳を傾けなければならない重要なヒントがあるのです。厳しい結果は時に相手の心を傷つけますが、私はそれも止むを得ないと思っています。ショックを与えてしまったとしても、不安を煽らなければ良いのです。実際には、まだ何も起きてはいないのですから。その時泣く分には、失うものは何もありません。最悪の状況に陥ってから泣くのでは遅いのです。

占いの的中率は100%ではありませんから結果が外れることもありますが、万一当たってしまった場合、事前に心の準備ができていたら、頭の片隅にその情報があったなら、その人の行動は全く違っていたかもしれません。そのような重要な情報を把握している占者が、伝えずに知らぬふりではいけません。相談者様にとって重要な情報は、伝え方を工夫しながら、必ず開示するべきです。

実は、若い頃は私もそのことには大変苦戦していたのです。それでも「占星学=転ばぬ先の杖」という本来の在り方を大切にして良かったと、ようやく思えるようになりました。忠告の多い私の鑑定に、あまり良い反応を示さなかったお客様達が、数年後占いが功を奏したと、再び私の鑑定を必要として下さったのです。

私の尊敬するプロの占者達は皆、厳しい現実から目を背けさせるような占いはしていません。占い師は安易に夢や希望を持たせる仕事ではないのです。現実をしっかり見据えることの大切さを教える仕事なのだと、先人から教わりました。