驚きと感動のご相談 エピソード集

 

 

【生き返らせて下さい】

ある日、奥様を亡くしたばかりのお爺さんがやってきました。ご相談は、奥様を生き返らせて欲しいというもの。最愛の伴侶を亡くしたというのに、、、

諸々の手続きに追われゆっくり側に居ることもできず、すぐに葬式という気にはなれない、と酷く肩を落としていらっしゃいました。

目次

〜 オドロキのご相談 〜
生き返らせて下さい
もう一人のわたし、現る!
相談でない相談
自殺のタイミング
命がけの仕事
余命3ヶ月
恥ずかしい悩み
一からのやり直し
夏休みの宿題

 

「奥様はいつお亡くなりになったのですか?」と伺うと、昨日亡くなったばかりだと話し始めて下さいました。そして突然「生き返らせて欲しいって言ってんだよ!お前は、そんな事もできないのかっ!」と大声を上げて、あたりはばからず泣き崩れました。こんな無理な相談を持ちかけてしまうほどの彼の悲痛な心情は、察するに余りあります。掛ける言葉も見つかりません…。

現状を占ってみたところ、やはり運勢は良くありません。お子様はなく、これから独りきりの生活になる彼の悲しみと不安は、容易に想像できるものではありません。

泣き止まない彼に「またいつでも、何度でもいらして下さい」と言葉を掛けると、「また来ます……」と言って席を立たれました。去って行く彼を引き止められなかった私を見て、隣の占い師さんが「お爺さん!」と駆け寄り「お支払いがまだですから、ちょっと戻りましょうね」と肩を抱きかかえ連れ戻して下さいました。私が一瞬迷ったのは、何のお役にも立てなかったからです。本当に何もできなかったのです。

究極の問題を、簡単に制することなど出来る訳がありません。ただこの経験は、どんなに難しい問題でも”今、自分に出来ることがあるなら放棄してはいけない”と気付かされるものでした。その後も生死に関わる相談を受けましたが、何度経験しても言葉に詰まってしまいます。ですが、人それぞれの様々な不安に耳を傾け、辛い気持ちを少しでも和らげ、寄り添うことができたら、という気持ちでいっぱいです。

【もう一人のわたし、現る!】

私の双子との出会いは、印象に残る鑑定の一つです。同じ母親から生まれなくても、同一生年月日で、生まれ時間と場所が近い者同士を、占星学用語で”タイムツイン(時計上の双子)”と呼んでいます。この世に同じ人生を歩む人は一人もいませんが、双子やタイムツインは同日のほぼ同じ瞬間に生まれたため、体調や運のめぐりなど、不思議な運命の類似があると言われています。

世の中に同じ誕生日の人はたくさんいますが、生まれ時間まで近い人は珍しいようです。ヨーロッパでは、広告などで自分のタイムツインを探す人もいるそうです。それほど、自然に出逢う確率は少ないということなのかもしれません。

ある日のご相談者は、初めて出会う私のタイムツインでした。その年私は健康に不安がある年でしたが、それを見越して数年前から体調を気遣っていたため、無事に要注意時期を乗り切るところでした。その反対に彼女は体調を崩し、闘病生活が長引きそうな状況に不安を感じている、というご相談だったのです。

何度となく目にしている生年月日だからこそ、かえって難しさを感じました。性格も、考え方も、感受性も、私と瓜二つの女性。酷似しているけれど同一ではない。そうとは分かっていても、似過ぎていることが私の判断を狂わせます。自分のことのように手に取るように分かる、と錯覚してしまいそうになるのです。

誰もが唯一無二の人生を歩んでいます。たとえ遺伝的な類似も多く、同じ生活環境にいる”双子”でも、家庭の外で出会った人から受ける影響などによって、歩む道は異なります。ですから、タイムツインを占う時に限らず、人と接する時はいつでも、その人にしか分からない経験や感情があることを、片時も忘れたくないと思います。他人のことが自分のことのように分かるなんて、あり得ないことなのです。

【相談でない相談】

若い女性から一本のお電話を頂きました。内容は、今まで受けたことのないご相談でした。「今すごく悩んでいることがあるんですけど、その問題について占うべきかどうか、占って頂けますか?」「???」ちょっと不思議なご相談です。その質問に対して私は「その悩んでいる問題については、占わなくて良いのですか?」と聞き返すと「はい。悩みは別の占い師さんに相談しますので。占った方が良いかだけ占って下さい」とキッパリ断られてしまいました。

正直なところ…私にとっては占う張り合いのないご相談です。自分が占いたいのなら占ってもらえば良いわけで…。「あなたは占いたいのですよね?それを私が止めることはできません。あなたが占って欲しいことを、占って欲しい占い師さんにご相談すれば良いと思います。これは占い結果ではなく私の考えですが」とお伝えすると、「ありがとうございます!お陰で相談する気になりました」と、とても喜んで下さいました。

ですが、占ったわけではないので、嬉しいような、そうでもないような…。なんだか複雑な心境です。なぜ占うことをためらっていたのか?それを聞いてあげた方が良かったのか?…悩まされます。今まで沢山の依頼を受けてきましたが、これほど仕事をした気になれないご依頼は、今のところ、この一度きりです。

【自殺のタイミング】

見るに堪えないほど意気消沈した女性が訪れてきました。自殺に良い時期を知りたいと、蚊の鳴くような声で仰るのです。弱々しい彼女から吐き出された精一杯の言葉は、心に突き刺さりました。胸が潰れる思いとはこのことです。それでも、事もなげに「では生年月日と出生地を教えて下さい。分かれば生まれた時間も教えて頂けますか?」と坦々と鑑定作業を進めました。

しばらくの沈黙の後「もし良かったら、理由を話して頂けませんか?」と尋ねると、彼女は素直に話し始めました。本当は自分が男性であること。そのような境遇で生きることの困難さ、心の葛藤、劣等感など。性同一性障害などのお悩みは、他人になかなか理解してもらえないからこそ、占い師に相談する方も少なくないようです。彼女は自殺願望を抱くほど落ち込んだ精神状態であったため、状況は大変深刻でした。

占い終えた私は、「来年は人生最大の転機ですよ。7年前にも変化があったかもしれませんが、来年の転機はそれ以上の重要な節目になるかもしれません。とても大きなチャンスの年です」とお話ししました。すると、「生きていた方が良いですか?」という言葉が返って来ました。「もちろんです。人生にそう何度も訪れない好機ですから。それを経験したら、もう一度ここへいらして下さい。また、お会いしたいです」そう告げました。

それからちょうど6カ月後、彼女は再び私を訪ねて下さいました。彼女を目にして、思わず息を呑みました。そして、これほど瞬時に心が明るくなった経験は初めてでした。さらに嬉しいことにご相談内容は、今後の仕事や人生設計についてでした。生きる気力を取り戻した彼女の服装から表情まで、その時の様子を今でも鮮明に覚えています。

【命がけの仕事】

自衛隊のイラク派遣が行われていた頃、その支援活動に志願する人達からご相談を受けました。今までの日常とは掛け離れた世界に行くのですから、不安を抱いても不思議ではありません。志願する彼らの心中には、当事者にしか実感できない切迫したものがあったと思います。

多かったご相談は、「志願した方が良いか?」「志願するつもりだが、それで良いか?」という確認。「志願したが運勢は悪くないか?」「無事帰国できるか?」と将来の安否を問う声もありました。派遣への志願は既に覚悟が決まってのことですから、運が良いか悪いかで計画を変更するつもりはないと思います。

ただ皆さん、戦場での生活や万一の事態、それらを心配する家族の想いなど様々なことに思いを巡らせ、とりとめのない気持ちを持て余していらっしゃいました。ですから、それを聴く良き話し相手になることが、私に求められている役割なのだと感じました。

私にとって彼らからのご相談は、戦争という未体験の問題を間接的に考えさせられる、とても難しいご相談でした。内心は震えるほど怖かったことを思い出します。「国家再建支援」という名目ではあっても戦闘地域に赴くわけですから、相当の覚悟が必要でしょう。死のリスクを考えるような、過酷な精神状態にある人からは、並々ならぬ緊迫感を感じました。このような局面を経験しなければならない人生を、想像しようにも想像が及びません。

私の言葉が彼らにどう伝わるのか…。それが解らず苦しみました。どんな仕事にも”一生掛かりの課題”と思えるようなものがあると思います。私にとってそれは、人の気持ちを想うことです。決して分かち合えない人それぞれの感受性に、いったいどうやって心を寄せれば良いのか?未だ答えを模索しています。

【余命3ヶ月】

占い館の前を通りかかった60代の男性に、笑顔で挨拶されました。「こんにちは!見てもらってもいい?」と気さくに声を掛け、私の前に座られました。「何を占いましょうか?」と尋ねると、「健康運でも見てもらおうかなぁ」と仰います。「何か気になる症状はおありですか?」と質問すると、「俺、病気なんだって。今日医者に言われた」とだけ、答えて下さいました。

やはり、結果は思わしくありませんでした。ただ、占い師は医師ではないので治療はできませんから、まずはお医者様からのアドバイスに従って、健康管理を最優先に生活するようお話しさせていただきました。すると、「余命3ヶ月なんだってさ。占い師なら……何て言ってくれるのかなぁって思って……」。そして、詰まる声を振り絞って「3ヶ月……。何したらいいんだろうね……」と。

「人生の素晴らしいところは、”全てを一遍に知ることが出来ない”というところだと思います。若い頃にしか感じられない事、中年にならないと気付かない事、死を目前にしないと見えないもの、それぞれの時期にしか味わえないものを味わい尽くすのが良いのではないでしょうか……。私なら、そうしたいと思います。」彼は「ありがとう」とだけ答えて去って行きました。その後お目に掛かることはありませんでしたが、彼にとって人生の終盤は、悲しみの日々だったのか、悟りを得たかそれとも無心か…。私の言葉は果たして彼を傷つけなかったか、心配だけが残ります。

【恥ずかしい悩み】

その日の相談者様は結婚して間もない男性でした。「お恥ずかしい相談なのですが…」と切り出した彼は、風俗通いが止められないと切実な面持ちで話し始めました。奥様との相性が悪く、結婚しても止めることができなかったという内容でした。

実はこのようなご相談は、年齢性別を問わず寄せられることの多いものであり、古くから研究されている問題でもあるのです。性格的には相性バッチリ、人としてもお互いに尊敬し合っている、そんな相手をパートナーに選んでも、禁欲を貫けないのは動物である以上、致し方ないことなのですが…。

相談に来る方達は皆、罪悪感にさいなまれながら結婚生活を送っています。パートナーを大切に思うがゆえに、もしこんな不満を抱えていると知れたら軽蔑されてしまう、けれど残りの半生を禁欲に徹するのはあまりに辛い…。そんな気持ちの板挟みに本当に苦しんでいるのです。彼らの思い詰めた様子を目にすれば、決して咎めることなどできません。

この問題についての答えは限られています。それを承知の上で、男女問わずご相談に来られます。ですが、一般的には一致しないことのほうが多いこと、相談者様の考えは決して特殊でないことをお話させていただくと、少しだけ気持ちが楽になったと、皆さん仰ってくださいます。

占い師になって知ったことは、このような悩みに限らず、自分の悩みは異様である、自分は普通でないと思い込んでいる人が、とても多いことです。自分は変わっている、自分は最低な人間だ、そんな風に独りで悩み、自分を恥じたり、責めたりしている人が多いのです。

もし、人に話せない悩みをお持ちなら、占い師を訪れてみてはいかがでしょうか?誰も理解してくれないと思いこんでいることは、実は誰もが抱えている問題かもしれません。それを知ることが、心の支えになることもあるのです。

【一からのやり直し】

ある日、若い男性が重い足取りでお店に来られました。「幸せになれますか?」と言う彼の暗い表情は、今でも忘れられません。「幸せになりたい」」という漠然としたご相談に応じるのは簡単ではありません。彼にとっての”幸せ”を考えるのは当然のことですが、彼が今、幸せでないと思っているのなら、その要因を取り除くことが必要でしょう。ところが、彼の抱える問題はあまりにも深刻なものでした。

生年月日を尋ねると「刑務所から出て来ました」という言葉が返ってきたのです。「…分かりました。では、占ってみますね」とだけ答え鑑定を始めました。出所して間もない彼は、これから、生活、仕事、人間関係、全てを一からやり直すのです。彼は過去を無くしたいと悔やんでいましたが、過去に戻って人生をやり直すことはできません。二度とやり直せないからこそ、自分の犯した過ちが心底身に沁みた時、人は変われるのだと思います。

「特殊な過去を持てば、その苦しみを分かち合える人、理解してくれる人との出会いは期待できないかもしれません。それでも孤独に負けず、自分自身を育てて欲しいのです。乗り越えるまでに長い時間が掛かったとしても、悩むことをおろそかにしないで下さい」幸せな人生を送るには、自分に合った悩み方を知ることだと思います。彼には、目の前の難題を恐れず、逃げず、常に考え、悩み続けて欲しいと思いました。自分の過去にきちんと向き合い、考えを深めることで過去の過ちに対する捉え方も、より深いものになるでしょう。さらにそこから、未来の歩み方を見つける機会も生まれてくると思います。

【夏休みの宿題】

夏休みのある日、中学生の男の子4人が占い師の仕事内容についてインタビューをしたいと訪ねて来ました。宿題の職業レポートへの協力を依頼されたのです。占い師のなり方、大変だったこと、嬉しかったこと等々。いくつかの質問に答え、一緒に写真を撮り、無事インタビューが終了しました。

その後、雑談の中で中学生達の悩みを聞いてみました。すると一人の男の子が「良い先生に当たらない」と不満を漏らし始めました。運が悪いのは分かるけど、良い先生と出逢えないことは”運が悪い”で済むことではなく、自分の人生で不利になると言うのです。

この悩みは、何度となく子供たちの口から聞いて来ました。大人が思っている以上に、子供たちは大人の発言や行動を深く冷静に見ています。「小学校から中学校まで色んな先生に習ったと思うけど、大好きな先生は少ないでしょう?良い先生には、なかなか当たらないものでしょう?それは運が悪いんじゃなくて、むしろ普通のことなの。これから高校生になっても、大人になっても、良い指導者に恵まれないから自分は伸びないと思っていたら、絶対成長できないよ。”良い出逢いは滅多に無い”という大切なことを学んだのだから、良い先生に出逢うまでは、どうしたら成長できるのか考え続けることが大事なの」と、いつものように話しました。

もちろん、尊敬する先生や上司がそばにいれば、高い目標を持てるでしょう。良い指導者に恵まれれば、勉強やスキルが早く身に着くかもしれません。しかし、人がどれだけ素晴らしく成長するかというのは、他人から教わる以上のことを、どれだけ自修し、自分の糧にできるかにかかっているのではないかと思います。そして、すべては自分の考え方とアクション次第です。帰り際に「出会えて良かったです」と言って貰えたことは、感動的な思い出の一つです。